「また、本音を申せば」小林信彦著
コメディアンであり、映画監督でもあるウディ・アレンは、著者にとって「全面的には好きになれない人物」だった。ブルックリンに生まれ、映画を見るのに不自由するくらい貧しい生活だった。ウディ・アレンは自分を、気が弱く、失敗しがちな「ひとつの人格」として確立し、本名のアラン・スチュワート・コニグズバーグではなく、ウディ・アレンとして行動した。そうした行動を映画やテレビですべて商品化した。
デービッド・エバニアーは評伝「ウディ」で、この成り上がり的人物がひたすら働き続けることを描き、そのエネルギーを賛美しているが、いかにもアメリカ人らしい。(「ウディ」という本のこと)
「週刊文春」連載コラムの単行本化。
(文藝春秋 2200円+税)