「漱石を知っていますか」阿刀田高著

公開日: 更新日:

 小説家の目線で国民的文豪の作品を読み解く文学ガイドエッセー。

 学者として十分に認められていた漱石が、小説家を志し、試行錯誤を繰り返す中で生まれたのがあの「吾輩は猫である」だった。「吾輩は猫である。名前はまだない」という有名な一行で始まるその物語の概略を紹介。

 同作は登場人物がよくしゃべる「饒舌を軸とした小説」だとし、その冗舌はレベルが高く、まことに衒学(げんがく)的で、ちょっと偉そうで、「そこが厭だ」という読者がいてもおかしくないと指摘する。小説の出来栄えを項目別に30点満点中19点と評価。同作で小説の多様性を模索して地下水脈をつくり、次の「坊っちゃん」でその一つの形を示したと説く。

 以降、その「坊っちゃん」をはじめ「こころ」など代表作13作品を解題。

(新潮社 750円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」