「文豪たちの住宅事情」田村景子編著 田部知季ほか著

公開日: 更新日:

 江戸川乱歩は46回転居したが、「二銭銅貨」を執筆したときは、妻と息子との3人で大阪府北河内郡守口町の父親の家に居候していた。

 乱歩は屋根裏をのぞいた経験を「屋根裏の散歩者」に生かしている。その屋根裏は「細長い下宿屋の建物」に設定されていて、都市と住宅が変貌していく時代を描いた。〈夢幻の世界へ通じる「幻影城」〉

 下級官吏の娘だった樋口一葉は、父の死後、借家を転々とする生活を余儀なくされた。下谷区竜泉寺町は吉原遊郭の近くで、その地で見たことをもとに東京市東部に生きる上層から下層の人たちを描いた作品を残した。〈首都東京の借家から世の中へ戦を仕掛ける〉

 住居から文学作品を考察したユニークな視点の本。

(笠間書院 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”