「みとりねこ」有川ひろ著

公開日: 更新日:

 桜庭浩太(さくらばこうた)は、桜庭家の三男猫──と言われているが、浩太自身は自分が次男猫で浩美が三男坊だと思っている。

 20年も前の梅雨の日、まだ目もろくに開いていなかった浩太は雨に打たれていたところを、桜庭家のお父さんに助けられた。家には先住猫のダイアナと長男の昌浩がいて、その後、お母さんが赤ちゃんの浩美を抱いて帰ってきた。

 浩美はおくるみの中で手をバタバタするだけで、全然大きくならない。心配した浩太は浩美に毎日添い寝をし、よたよた歩きや食事にも付き添い見守った。

 やがて浩美はお父さんの背を追い抜き、大学生になったが、浩太にとって浩美は「弟」であることに変わりはない。そして「弟」の気持ちに応えて頑張って21歳になった。猫又になるまであと少しだ──。

 数々のメディアで話題となった小説「旅猫リポート」の外伝2編や書き下ろし「粉飾決算」を含む7編7匹の物語。ファンにはお馴染み「旅猫リポート」のハチやナナ、アンマーのおばあさん猫など、人と猫との出会いと別れの物語に感涙必至だ。

(講談社 1705円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」