「カラ売り屋VS仮想通貨」黒木亮著
経営コンサルタントとして働いていた矢作幸作は、ある日渋谷で仮想通貨を扱う小さな両替所を目にした。矢作は、店番の男・水谷透の豊富な専門知識に舌を巻き、一緒に独立しないかと話を持ち掛ける。矢作は、仮想通貨業界のような成長性のある分野に転身したいと望んでいたのだ。
意気投合したふたりは仮想通貨取引所・コインドリーム株式会社を設立。コインドリームは、設立直後から爆発的な利益をたたき出し、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せる。しかし、そんなコインドリーム社に狙いを定めたある組織が動き出した……。(「仮想通貨の闇」)
「巨大投資銀行」「カラ売り屋」など経済小説で人気の著者による最新作。収録されているのは、仮想通貨取引がテーマの「仮想通貨の闇」のほか、生き残りを画策する航空会社を描いた「巨大航空会社」、新興EVメーカーに仕掛けられた空売り攻防劇が繰り広げられる「電気自動車の風雲児」の3編。
それぞれ実在する人物や出来事がモデルになっており、巻末の参考文献と金融・経済・法律用語集を参照しながら読むと、今の時代の経済問題がよくわかる。
(KADOKAWA 2090円)