「属国民主主義論」内田樹、白井聡著
日本の政治の現実を論じた対談集。
2015年、当時の安倍政権はこれまでの憲法解釈を変更して、日本の憲法学者の98%が違憲とした安保関連2法案を強行採決。これにより政府は「たとえ日本が攻撃されていなくて、同盟関係にあるアメリカが攻撃された場合は武力をもって反撃する」という集団的自衛権を公に容認した。
実はこうした安倍政権の動きは、その3年前にアメリカの元高官が発表したリポートの内容をくみ取ったものだという。安倍政権は、このリポートに忠実に従いTPP交渉に参加を決め、憲法解釈の変更に踏み切ったと指摘。
他にも、2021年の衆議院選や東京五輪なども俎上に、対米従属化が加速する日本政治の現状を憂い、読者に覚醒を促す。
(朝日新聞出版 1078円)