「草木とともに」牧野富太郎著
著者は小学校中退ながら、独学で植物学を極め、数多くの新種の発見や膨大な標本を残した近代植物分類学の権威。植物に捧げたその人生を生前の作品でたどる随筆集。
文久2(1862)年、現在の高知県に生まれた氏は、幼くして両親を亡くし、祖父母に育てられる。
少年時代のある日、氏は山で落ち葉の間から頭を出す大きな白い玉を見つける。祖母はその存在を知らなかったが、下女によると「キツネノヘダマ(狐の屁玉)」と呼ばれるキノコらしい。この下女は草やキノコの名をよく知っており、たびたびへこまされたという。
その後の寺子屋時代に始まり、植物学の基本を教わった師友、上京して東大の植物学教室に出入りを許可された頃の思い出などとともに、植物に関する豆知識も網羅。
(KADOKAWA 880円)