「怖くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著
不思議と謎に満ちた植物の生態を紹介するサイエンスエッセー。
植物の世界ではクローンが当たり前。種子を作らず、球根が分かれて増えていくヒガンバナは、中国から渡来した縄文時代からずっと生き続けていることになる。このように植物では「命」や「寿命」という概念がはっきりしていないという。ありとあらゆるものに使われるトウモロコシだが、実はその栽培植物のもとになった野生種が見つかっておらず、宇宙からやってきたという都市伝説まであるそうだ。
他にも「非脱粒性」(種子が熟しても地面に落ちない)という小麦の突然変異がもたらした人類の大転換、光を求めてジャングルの中を歩き回る「ウォーキングパーム」など。誰かに話したくなるエピソードが満載。
(PHP研究所 814円)