「世界のサメ大全」めかぶ著 田中彰監修
夏になると海水浴場にサメが現れたとのニュースが世間を騒がすが、人を襲うとされる危険種は約600種類いるサメのわずか1割以下だ。
本書は、サメをこよなく愛するイラストレーターによるイラスト図鑑。
4億年以上も前から地球に存在するサメはわれわれの大先輩。今でも1年に5~10種ほどの新種が確認され、その種類はどんどん増えている。
そのウロコは「サメ肌」などともいわれ、寿司店ではわさびの「おろし金」として用いられているが、3層の独自のウロコは人間の歯と同じ構造で、サメは「体中に歯をまとっている」と言っても過言ではなさそうだ。ご存じのように何度でも生え替わるサメの歯は、一生に約3万本も生え替わるという。そんなサメ全般にわたる基礎知識を学んだあとは、各サメを紹介。
水族館の人気者のジンベエザメは、大きさ約8~10メートル、最大では18メートルを超える個体がいたといわれるが、体や口の大きさに比べ、食道はわずか数センチほどと極端に狭い。
サメ界最強のホオジロザメと同じネズミザメ目ネズミザメ科のネズミザメは、発達した毛細血管によって体温を水温よりもある一定の高さに保ち、高速に泳げることが可能になり、群れで獲物を襲う。アンモニア臭が少ないので食用にもされ、その心臓の刺し身は「モウカの星」という珍味になっている。他にも2015年に新種として認められたばかりのニンジャカラスザメや、最大でも全長が20センチほどにしかならないサメ界最小クラスのツラナガコビトザメをはじめ、メガロドンなど古代のサメ10種も加えた全125種のサメを解説。
特徴をとらえたイラストとユーモアを交えた解説で、なんだか苦手だったサメが読後には好きになっているから不思議だ。
(SBクリエイティブ 2970円)