「北朝鮮とイラン」福原裕二、吉村慎太郎著
2001年の米国同時多発テロを受け、テロの根絶を掲げた当時のブッシュ大統領は北朝鮮・イラン・イラクを同盟国を脅かし、米国を脅迫する「悪の枢軸」と位置付けた。そして、実際に「言いがかり」をつけてイラク政権を崩壊に導いた。この事実が北朝鮮のそれまでの核兵器開発の「疑惑」を利用しようとする姿勢から、核抑止力確保を追求する政策への転換を促してしまった。
本書は、米国によって悪の枢軸と指弾され、世界の安全保障を脅かし続ける北朝鮮とイランをそれぞれの専門家が分析した国際政治テキスト。
独特の政治社会システムのもとで国家運営される両国の歴史をそれぞれ振り返りながら、レッテルやイメージ先行の理解とは異なる視点で、その正体に迫る。
(集英社 946円)