「形見」 伊多波碧著

公開日: 更新日:

 おすみは3歳の娘を連れて、寄せ木細工職人の仕事に復帰した。

 欄間職人の夫・周吉との結婚を機に仕事を辞めたが、親方から頼まれ、周吉の許しを得たのだ。仕事中は、親方の奥さんが娘の面倒を見てくれる。

 しかし、昼は夫の食事の用意に家に戻らなければならない。周吉はおすみの仕事を見下し、何かと嫌みをいってくる。許したものの家を空けるのも気に入らないらしい。そんな周吉の機嫌を損ねないよう、気を使いながらもおすみは仕事が楽しくてならない。12歳で孤児になり、親方に仕込まれた技術に誇りもある。

 眠れぬ夜を過ごして早朝、娘と川べりを散歩していたおすみは、一膳飯屋を営むおけいに声をかけられる。(「山鳩」)

 母娘が営む一膳飯屋を舞台に描く人情時代「名残の飯」シリーズ第3弾。

(光文社 748円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  3. 3

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    阿部巨人が《もっともビビる》阪神投手の復帰でCS戦々恐々…Gナインに根付く苦手意識

  1. 6

    阪神・大山悠輔を絶不調に変えた根本原因…良かれと取り組んだオフの肉体改造が裏目

  2. 7

    兵庫パワハラ知事やコバホークも? 東大→官僚→政治家は“ピカピカの経歴”にあらず旧いタイプ

  3. 8

    やす子「24時間テレビ」での好感度上昇は諸刃の剣…早くも“イジリにくい芸人”になる懸念

  4. 9

    キムタクが迫られる「主役の座」からの退場…盟友からも“二番手”降格を提言される異例の事態

  5. 10

    神田正輝「旅サラダ」“有終の美”前に拒絶態度は変わらず…沙也加さん元カレ舞台中止で復帰は絶望的