「人が働くのはお金のためか」浜矩子著
経済活動が人間の営みである以上、人を幸せにできなければいけないと著者は言う。経済活動の中で中核的な位置を占めているのが労働だ。しかし、人と幸せをつなぎとめるはずの労働が、人と不幸を結節していると指摘する著者による労働論。
世に出回る「人はなぜ働くのか」本を検証。多くの著者が説く労働礼賛の労働観に対する読者の強い疑念と拒否反応に注目し、その認識落差がどこから生じるのか論じる。
一方で、古代ギリシャまで歴史をさかのぼり、人類の労働観の変遷をたどるとともに、経済学の始祖アダム・スミスと資本論のマルクスのそれぞれの主張と照らし合わせながら、21世紀を生きる現代人は労働とどう向き合うべきかを提示する。
(青春出版社 1210円)