「巻頭随筆 百年の百選」文藝春秋編

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「巻頭随筆 百年の百選」文藝春秋編

 日本人の神道的な宗教性を感じ取った西洋人のひとりが大正期の駐日フランス大使、ポール・クローデルだ。

 彼は日光でひしゃくの冷たい水を手に受けたとき、理知では到達できない優越者を受け入れる日本人の恭敬とか尊崇に思い至った。我々の周りに何かが臨在していて、それが儀礼と慎重な心づかいを要求していると感じるのだと。

 床屋の店主から、井田真木子の仕事用のカバンが捨てられていると連絡があった。入れてあった海外取材の経費など120万円は盗まれていた。新聞記事の扱いは井田が大宅賞を取った時より大きい。きっと「120万円を盗られて、大宅賞“も”取った書き手」として記憶されるのだろうと井田は思った。

 ほか、芥川龍之介、司馬遼太郎、向田邦子らがつづった「文藝春秋」掲載の随筆100編。 (文藝春秋 1980円)

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