「楠木正成 河内熱風録」増田晶文著

公開日: 更新日:

「楠木正成 河内熱風録」増田晶文著

 後醍醐天皇の皇子である大塔宮護良親王は、1331年、倒幕を図って挙兵し、笠置山が落城した後、河内の楠木正成の砦に逃げ込んだ。

 広間に招き入れられた大塔宮は、正成の太刀に目を留めた。

「おお、これは父上からの太刀ではないのか?」

 大塔宮は太刀を抜いて正成に向け、後醍醐帝が正成に菊花紋をつけることを許したのに、太刀に菊水紋をつけたことをとがめた。正成が領地の河内のことだけを考え、後醍醐帝の大志を無視していると。正成はその太刀が豪華絢爛な飾り太刀ではなく、実戦用の野太刀であると言い、「この太刀をもって命が尽きるまで戦え」というのが帝の意志だと答えた。

 楠木正成の激動の5年間を描く歴史小説。

(草思社 3080円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  3. 3

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  4. 4

    吉村知事の肝いり「空飛ぶクルマ」商用運航“完全消滅”…大阪万博いよいよ見どころなし

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  2. 7

    大谷ファンの審判は数多い あいさつ欠かさず、塁上での談笑や握手で懐柔されている

  3. 8

    小泉進次郎の“麻生詣で”にSNSでは落胆の声が急拡散…「古い自民党と決別する」はどうなった?

  4. 9

    ドジャース地区連覇なら大谷は「強制休養」の可能性…個人記録より“チーム世界一”が最優先

  5. 10

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ