(9)白粉はよく溶くことが肝心
花台には、撫子が挿された一輪挿し。座敷の角には、牡丹の花模様の手焙り──。
おちえはため息を吐く。
うちじゃ、作り物の蓮の花か、樒だもの。地味ったらありゃしない。
「お待たせ」と、化粧道具を入れた乱箱を抱えたお民が身を弾ませながら、戻って来た。水を張った桶…
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