「どろどろの聖人伝」清涼院流水著

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「どろどろの聖人伝」清涼院流水著

 キリスト教の2000年におよぶ歴史の中、膨大な数の聖人が生まれた。英語版の聖人事典には2000人が掲載されているという。

 信徒にとって聖人は、神への「取り次ぎ」が期待できる仲介者だという。彼らは、清らかな人生を貫いたからこそ聖人として尊崇されているのだが、聖人伝にはどろどろとした逸話も多いという。

 例えば、サンタクロース伝説の元になった4世紀の聖人ニコラウスは、教義の対立に決着をつけるための公会議で、口論になった相手側に殴りかかり、議長を務めるローマ皇帝から司教職を剥奪され投獄されたという。

 本書は、聖人崇敬の頂点に立つ聖母マリアから現代のヨハネ・パウロ2世まで聖人たちの逸話を紹介しながら壮大なキリスト教の歴史を解説した面白テキスト。

(朝日新聞出版 891円)

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