(4)目を閉じ、薫いた香りを聞く
仙薫堂の女たちに受け継がれてきた女香は、「女仙」という銘の沈香をほんの少しだけ混ぜる。多くの削り跡のある女仙の香木も、おみつは母から譲られていた。
「どういうわけか、これを混ぜると、香りにこくが出るのよ」
と、母は言っていた。春の梅花はより甘く、夏の荷葉はよりさわ…
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