竹内薫(サイエンス作家)

公開日: 更新日:

3月×日 新幹線の中で加藤文元著「数学の世界史」(KADOKAWA 2420円)を読み始める。この本は「数学による文明の征服史」とのことで、たしかに軍事兵器も産業経済もその時代や地域の数学を抜きにしては語れないなと、気づかされる。ZEN大学(仮称、設置認可申請中)の授業のための書き下ろしだそうだが、実は、数学をやり直したいビジネスパーソンにピッタリだなと感じた。あ、そろそろ目的地だから降りる準備をしないと。

3月×日 近々、両目とも白内障の手術をするので、読書量も減らさないといけない。だから、今のうちに心置きなく読書三昧と行きたい。自宅で猫の世話をしながら、合間にキッチンで青野由利著「脳を開けても心はなかった」(築地書館 2640円)を再読。では、心はどこにあるのか? 頭のいい科学者たちが懸命にこの問題に取り組む姿に感心する。続けて渡部潤一著「賢治と『星』を見る」(NHK出版 1815円)を読む。私自身も宮沢賢治ファンなので、天文学者目線の賢治本は心から楽しめる。良いなぁ。

3月×日 主催するインターナショナルスクールで小学生に量子力学を教えるので、最近の啓蒙書を何冊かめくっていて、前に読んだフィリップ・ボール著「量子力学は、本当は量子の話ではない」(松井信彦訳 化学同人 3080円)を再読。現代的に量子力学を「情報」の観点から読み解く著者の姿勢に好感が持てる。

3月×日 期末の人事のゴタゴタと決算の準備に大わらわ。「やわ」なので本当に会社経営が向いていない。会社を潰さないので精一杯。誰か代わってください? 冗談はさておき、疲れてしまったので、寝っ転がってタブレットでマンガを読み始める。DUBU(REDICE STUDIO)作画「俺だけレベルアップな件 15」(Chugong原著 h-goon脚色 KADOKAWA 1012円)。ああ、俺も人事や金の帳尻計算から離れて異世界で無双したい(笑)。

【連載】週間読書日記

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  2. 2

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ

  3. 3

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  1. 6

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  2. 7

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  3. 8

    堂本剛、松本潤、中山優馬…そして「HiHi Jets」髙橋優斗の退所でファンが迎えるジャニーズの終焉

  4. 9

    「光る君へ」一条天皇→「無能の鷹」ひ弱見え男子…塩野瑛久は柄本佑を超える“色っぽい男”になれる逸材

  5. 10

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る