「〈本の姫〉は謳う」多崎礼著

公開日: 更新日:

「〈本の姫〉は謳う」多崎礼著

 2つの月に照らされた砂大地。少年アンガスは砂丘からすべり落ちた。「私はここだ!」という声をたよりに斜面に埋もれた本を拾い上げた。砂を払い落とすと「乱暴に扱うな」という声とともに人間の6分の1くらいの女性の幻影が現れた。

 その「姫」を連れ、本を抱えて歩き出すと同心円状に石柱が並んでいる広場に出た。アンガスは中央の石壇のくぼみから小さな手鏡を取り出す。アンガスが鏡に息を吹きかけると奇妙な模様が浮かび上がる。その上に水をこぼすと、「Trust(信頼)」という文字が浮かび上がった。

 本に宿る「本の姫」とともに、大陸に散った文字を探す少年を描いた壮大なファンタジー。 (講談社 1980円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動