(13)貸本屋を呼び止める声がこだまする
線香の煙がゆっくりとたなびく。重三郎は供養塔に頭をたれ、手をあわせた。
先日、足抜けを企てたお上臈が激しい折檻の末に果てた。亡骸が吉原にほど近い下谷三ノ輪の寺に葬られたと知り、重三郎は居ても立ってもいられなくなった。
だが、いくら探しても遊女の墓はみつからない。…
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