(45)あの寮に小紫さんがいる
![切り絵・小宮山逢邦](https://admin.nikkan-gendai.com/img/article/000/358/673/112fa425c1af4b3afaf82fe94a32dc6420240805130009562_262_262.jpg)
大川べりの老舗料亭、重三郎は二階の窓から身を乗り出している。その背におもんの毬が弾むような声。
「鰻の蒲焼がきました」
「………………」
だが重三郎は粋な造作の寮(別荘)から眼を外そうとしない。次郎兵衛は重三郎には眼もくれず、おもんにひとくさり。
「最…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,302文字/全文1,442文字)
初回登録は初月110円でお試し頂けます。