「贖罪 殺人は償えるのか」藤井誠二著
「贖罪 殺人は償えるのか」藤井誠二著
犯罪受刑者は刑期を終えることで罪を償ったことになるのか──。
本書は、犯罪の背景と被害者や加害者、その家族を多く取材してきた著者による、殺人を犯した受刑者との5年間にわたる書簡。
受刑者は「罪の償い」「謝罪」「反省」「更生」などの言葉の意味と内容を手紙に書き、著者はその答えを引き出そうと返事を書く。受刑者は刑務所内の図書や著者が送る犯罪関係の本で徐々に言葉と思考を深めていく。被害者家族には謝罪を伝えるべきか、自分を律するために娯楽や笑いは止めるべきか、出所後の仕事はどうするか、と懊悩(おうのう)する。
ほとんどの受刑者は刑期を終えたら「これでおしまい」とシャバに出る。そもそも刑期は反省の機会になるのか。問いかけは重い。
(集英社 1210円)