(47)ちょっと転んだだけです
絵師の北尾重政は絵筆を持ったまま、まじまじと重三郎をみた。
「蔦重、派手にやられたな」
本屋の仕事の際、人々は蔦屋重三郎を約めて蔦重と呼ぶ。暴行を受けてから半月、蔦重は大伝馬町三丁目に住まう重政を訪れた。
「青あざ、赤い擦り傷に腫れ。にぎやかな色目だよ」
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