(58)お前の細見なんか捻り潰してやる
鱗形屋の狭い座敷で長々と待たされているが、出がらしの茶ひとつ出てこない。
だが蔦重は大書店の主への苛立ちを表にしたり、小さな本屋の悲哀を噛みしめ、憮然としたわけでもない。冷遇されるほど静かに闘志が沸き立つのだった。
どすんどすんと廊下を踏み鳴らす音、乱暴に障子が…
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