「血腐れ」矢樹純著
「血腐れ」矢樹純著
実家で暮らすフリーランサーの幸菜は、母に頼まれ弟の伸彰一家のキャンプに同行する。伸彰の妻・麻実が仕事で行けないので、2人の子どもの世話の手伝いをするためだ。幸菜らが子ども時代にも利用したことがあるキャンプ場に到着し、設営を始めるが、伸彰の様子がおかしい。麻実との関係が悪く、母には離婚をしたいと漏らしたらしい。
幸菜は弟のタオルに血のようなものがついていることに気づき、思わずよからぬ連想をしてしまう。キャンプ場の近くにある神社は縁切りで有名で、社の裏の石に相手の血を捧げれば悪縁だけでなく、その命さえ絶つことができると伝わる。幸菜も小学生のときに自分をいじめる同級生の血を捧げたことがあるのだ。(表題作)
イヤミスとホラー6作を収録した戦慄の短編集。
(新潮社 693円)