「恋とか愛とかやさしさなら」一穂ミチ著

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「恋とか愛とかやさしさなら」一穂ミチ著

 フォトグラファーの新夏(にいか)は、自分が構図などで作為を施したものが「現実」になってしまうのではないかと後ろめたさを感じていた。

 ある日、恋人の啓久にプロポーズされてそれを受けたのだが、翌日、啓久の母からの電話で起こされた。啓久が盗撮で逮捕されたというのだ。啓久の母は、初犯のうえ、素直に認めて反省しているため警察から帰されてきたと安心しているが、新夏は放心状態だった。

 新夏は啓久がやってないと言うのを期待していたが、電話してみると、啓久は「ごめん」と言った。先輩の玲子は、欲望の発露である盗撮写真は自分では絶対撮れないから、むき身の魂で対峙して初めて手が届く一瞬にはまった写真には感動すると言うのだが……。(表題作)

 ファインダーを通して男と女の欲望を見つめる物語2編。

(小学館 1760円)

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