「さっちゃんは、なぜ死んだのか?」真梨幸子著
「さっちゃんは、なぜ死んだのか?」真梨幸子著
就職氷河期に社会に出た祐子は、1人暮らしで派遣の仕事とカフェの店員を掛け持ちして働く日々。
そんなある日、カフェの向かいにある公園で殺人事件が起きる。被害者は店の常連でもあった公賀沙知という名のホームレスの女性で、通り魔による犯行と思われた。祐子はひょんなことから沙知が自分のアパートのかつての住人だったことを知る。
大家によると、当時、沙知は広告関係の仕事をしており、とても羽振りが良い暮らしをしていたが、バブルが崩壊して、夜逃げするように出ていったという。祐子は大家から教わった住所を頼りに、沙知が一時暮らしていたという熱海に向かう。
行く先々で記者と勘違いされる祐子が、導かれるように沙知の人生の軌跡をたどる長編小説。 (講談社 869円)