「君を育てる」 草野仁の礎をつくった元NHK羽佐間アナ
最近でこそ、バラエティーでの「筋肉オジサン」のイメージが強いが、もちろん往時はNHKのスターアナウンサーだった草野仁さん(70)。そんなこの人が目標としてきたのが同じNHKの大先輩だった。
私が羽佐間正雄(82)さんと最初に出会ったのは初任地・鹿児島でのこと。当時はロッテが指宿でスプリングキャンプをやってまして、スポーツアナは東京からも大阪からも取材にやってきたんです。そこで羽佐間さんから聞いた話にまずショックを受けました。
「これからはテレビの時代だから“投げた!”とか“打った”とか、たとえば、ファウルになるのがある程度予測がつく打球について“大きい、大きい。ファウル~”というような、画面を見ていれば分かる実況は必要ない。もっと試合の展開を予測するような、見ている人も一緒に楽しめるような実況が必要な時代になる」
■ラジオの名残
当時のスターアナというのはラジオの名残を残した人が多く、必要以上に盛り上げる傾向にあったんです。羽佐間さんはどちらかといえば少数派でした。でも、私は羽佐間さんのこの言葉にいたく感動し、「そうだよな。この先輩を目標にしよう」と心に決めたんです。私が入局1年目のことでした。