「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<5>
人気競争から距離を置き、自分の専門性を生かした働き方――それは、実はブラック企業対策の要である。ブラック企業のみならず、日本型雇用においては、正社員であれば誰もが会社に従順なキャラクターであることが評価対象となり、長時間残業や転勤を断れず、出世競争に駆り立てられる。ブラック企業にいたっては若者を出世すらさせず、使い潰していく。
心身や生活を破壊される長時間残業や転勤を断り、それらが優先される競争から外れても、安定して働き続けられる雇用。そうした命令や競争に縛られないために、また会社を辞めた時の転職のしやすさのためにも、自分の専門的な「仕事」を身につけられる働き方。これは、ブラック企業や日本型雇用の対極にあるものだ。そのイメージを先ほどのメンバーに重ねることもできるだろう。
もちろん楽観は許されない。立候補制は、メンバーが卒業を決断する「踏み絵」となっているのも現実だ。
AKBの代名詞ともいえる総選挙に出ないならAKBを辞めるべきというファンをはじめ、圧力は根強い。昨年度や今年度に立候補しなかったメンバーの多くが、まもなく卒業を発表している。