「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<2>
秋元康は「丸刈り」の峯岸みなみに歌を書いた
AKBはブラック企業の縮図なのか。それを考えるヒントが、彼女たちが歌う曲の歌詞だ。というのも、AKBの歌詞にはメンバーに向けたメッセージが隠されていることが多いのだ。
48グループには、メンバーのソロやユニットなども含めると800曲を超える歌があるが、そのほぼ全ての歌詞を書いているのは、秋元康である。その歌詞には、メンバーの置かれた環境を反映した自己言及的な歌詞が多い。メンバーの言葉や体験が歌詞に取り込まれていることも珍しくはない。
それはAKBが、彼女たちの「物語」を楽しむコンテンツであり、偶然の出来事も歌詞を通じて「物語」に昇華させてしまうためだ。
だが、秋元が歌詞に込めた狙いはそれだけではない。彼の歌詞はメンバーたちに自分たちの置かれた過酷な環境を納得させ、秋元の意思を浸透させる役割を担っている。
一例を挙げよう。恋愛スキャンダル報道を発端とした、昨年の峯岸みなみ(21)の「丸刈り」事件は記憶に新しいだろう。「恋愛禁止」の是非や「丸刈り」の真相が取り沙汰されたこの事件についても、秋元はひとつの歌を書いている。