東ちづるが懐かしむ スタジオ凍りついた“山守親分”の啖呵
それからほぼ1年後。「料理番組のアシスタントのオーディションがある」というので食いつきました。子供のころから料理は大好きだったから。面接で、「どんな番組にしたいですか」と聞かれて、「グラハム・カーの“世界の料理ショー”のような面白くて笑えて、それでいてちゃんと料理の心を学べるもの」と答えました。そして、料理のイロハも知らない新米アシスタントが、回を追うごとに腕を上げるという設定はどうかと提案したんです。それで採用になりました。「金子信雄の楽しい夕食」という全国ネットのお仕事。それまで関西~西日本ネットがほとんどで、全国区はスゴイこと。さらに大御所、映画「仁義なき戦い」の“山守親分”がお相手ですから、いくら私でも武者震いでした。
収録初日。スタジオはピリピリで、誰も私を見ていない。“親分”のご機嫌うかがいに必死。その親分、何が気に食わなかったのか、いきなり啖呵を切ったんです。
「オレを気安く使うんじゃねぇ!」
ポイッとお玉を放り投げて東京へ帰っちゃった。凍りつきましたよ。当時、先生は東京から日帰りで、1日10本(月~金の2週間分)収録でした。それが最初からお流れ。「わぁ、どうなるんだろう」と。何とかスタッフがとりなして、後日撮り直し。その収録の合間、勇気を振り絞ってお聞きしたんです。