下戸なのに日本酒のCMに出演 柳家花緑が“お酒通”な理由
日本酒に詳しい?
私、10年ほど前には菊正宗のCMに出ていたんです。おいしそうに飲むしぐさが好評だったのか、5年ほど続きましたね。
でも、下戸とは知らないファンの方が珍しいお酒を届けて下さるので、ひと頃、家には全国各地の日本酒が所狭しと並んでいました。「試し酒」を演じるときには自分が飲めない話をマクラに振ります。
師匠が得意とした噺に「猫の災難」というのがあります。文無しの熊五郎が、長屋の隣のおかみさんからもらったネコの食べ残しの鯛を肴に酒を飲みたいために、兄貴分から酒をせしめようとする噺なんですが、師匠は酒飲みの心理がわかってるからうまいのなんの。のんべえの業の深さの表現が絶品なんです。私は何度やっても、「(聞かされる)客の災難」になってしまう。こればかりは“しぐさ”だけでどうにかできるものじゃないですからね。いつか、この噺を自分の手の内に入れたいというのがひそかな野望です。
▽やなぎや・かろく 1971年生まれ。一般社団法人落語協会所属。俳優としても小劇場から商業演劇まで幅広く活躍。8月6~9日、浅草公会堂で「南の島に雪が降る」(原作=加東大介、脚本・演出=中島淳彦)に初主演する。名古屋・中日劇場は8月14~23日。福岡・キャナルシティ劇場は25日。大阪・シアター・ドラマシティは27日。浅草公演の問い合わせ=[電話]03・3352・1616 ジェイ・クリップ