下戸なのに日本酒のCMに出演 柳家花緑が“お酒通”な理由
スピード感ある歯切れのいい語り口で大人気の柳家花緑さんは古典落語はもとより、新作落語にも意欲的に取り組んでいる。母方の祖父は人間国宝だった5代目柳家小さん。兄はバレエダンサーで振付家の小林十市。叔父は6代目柳家小さんという落語界のサラブレッドだ。落語家といえば酒飲みのイメージがあるが……。
師匠の小さん(5代目)は30歳を過ぎてからお酒をおぼえたそうで、どんなに飲んでも絶対に乱れないきれいな酔い方だったのですが、実は私も乱れないことにかけては自信があるんです。なにせ下戸なものですから、乱れようがない。ハハハ。
でも、お酒を飲む雰囲気やお酒の味は好きなので、宴席の前にはジンジャーエールを飲んで、軽く食事を取り、下ごしらえをした上でビールをいただく。これが花緑流の酒の飲み方です。
落語で「試し酒」という、師匠が得意としていた噺がありまして、大酒飲みの下男が主人と客の賭けのダシに使われて、5升の酒を飲み干す場面があるんです。酒が飲めなくて酒飲みの気持ちが分かるかと言われますが、殺人犯の役を役者が演じるのに経験がなくてできるかって言われるのと同じ。飲めなくてもうまく表現するのが芸ですから5升だろうが10升だろうが飲みます。