映画シン・ゴジラが踏み潰した 集団的自衛権の欺瞞と現実
■自衛隊の出動名目はあくまで有害鳥獣駆除
「エンドロールには“協力”として小池百合子都知事など複数の政治家の名前がありましたが、実際、彼女をほうふつとさせる女性防衛大臣が登場するなど、相当現実を意識した作りになっています」(前田氏)
ゴジラといえば、54年版の第1作では“核の申し子”として、その破壊力を描くことで反核テーマを訴えた骨太な一面もある。
「そうした社会派の側面も継承していて、たとえば自衛隊はあくまで有害鳥獣駆除を名目として出動するし、最後の最後まで市街地での武器の使用を躊躇したりします。また在日米軍に頼った途端、ここぞとばかりに米国に国の主権を奪われかける場面も。日米安保や多国籍軍がいざという時、心強い味方になってくれると信じていた人にはショックな映画です」(前田氏)
新生ゴジラは、東京の街と共に欺瞞だらけの集団的自衛権も踏み潰しているようだ。