ムード歌謡がヒット 歌手・南有二さんは今も現役で活動中
70年にバンド名を「南有二とフルセイルズ」に改め、7月、テイチクから「おんな占い」でレコードデビューした。
「僕らはフリーだったので、テイチクと交渉して宣伝部所属で月8万円の月給制社員に。『半年がんばってダメだったら辞めよう』って。それだけ自信がなかったんですよ。アハハハ」
秋が深まるとまず北海道で火がつき、12月に入るや大ブレーク。全日本有線放送大賞・新人賞や日本有線大賞・奨励賞を受賞して、多忙に拍車がかかった。
「当時はテレビもラジオも歌謡番組が多かったから、その収録と全国各地のコンサートに追われて、帰宅するのは2カ月に一度でした。でも努力のかいあって、71年夏のボーナスは400万円。札束が机の上にシャンと立ちましたね」
■「フルセイルズ」メンバーは全員替わり3人に
その後、「おんな流れ唄」「恋占い」「あの娘ちゃん この娘ちゃん」をリリース。ムード歌謡ブームの一翼を担った。
「悔しいのは73年に発売した『おんな港町』。77年に大ヒットした八代亜紀さんの名曲の原曲で、少しメロディーが違うの。僕らの時はイマイチだったのに、八代さんが歌ったら全日本有線放送大賞特別賞を受賞して、その年のNHK紅白歌合戦では紅組のトリ。曲をヒットさせるって、ホント、難しいよね」