社会学者が読み解く 白石麻衣「写真集」異例ヒットの背景

公開日: 更新日:

「ファンにとって手の届く、身近な存在というイメージのアイドルの流れが一段落して、次の潮流がはじまったのかも知れませんね。『アイドルは身近なもの』という流れは、AKB48やももクロがその中心を担い、ここ何年かのアイドルブームが定着したものです。その端的な表れがファン投票で選抜メンバーが決まるAKB総選挙。ただそうなるとファンの意思でアイドルの行く末を左右できるまでになり、その流れも行き着くところまで行った感があります。今回の白石さんの写真集のヒットにはそんな状況への反動というか、アイドルが手の届かない憧れの存在だった時代への回帰があるように見えます。山口百恵らの活躍した頃の清純派の復権といいますか、スターの神秘性とか、そういうものをアイドルに求める時代がもう一度巡ってきたようにも見えるのです」

 乃木坂を売るソニーは、一部門のCBSにかつて南沙織、山口百恵、キャンディーズらが所属していたことで知られる。その系譜からも、かつてのアイドルの王道、百恵時代の再来を予見させるという。

「戦後の日本社会が志し、推し進めてきた平等が浸透した現代には、右を見ても左を見ても同じという社会の画一化による息苦しさがあります。何でもフラットになってしまった分、突出した何かを求めたい。自分はなりたくても到底なれないような存在がいて欲しい。そうした希求のひとつの表れとして、アイドルは時代に機能します。何が起きても不思議じゃない混沌とした世界情勢のなか、圧倒的な存在の登場を時代が待っているような気がします」(太田氏)

 かつて山口百恵について「菩薩である」と書いたのは評論家の故平岡正明氏。果たして白石も菩薩のような圧倒的存在なのか、はたまた別のカリスマ登場の予兆なのか。たしかなことは時代が“素人”をウリにする開き直りにあぐんでいるということだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトB悪夢の本拠地3連敗「2つの敗因」…26イニング連続無得点よりも深刻なチーム事情

  2. 2

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  3. 3

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  4. 4

    3人の婚外子…菊川怜の夫・穐田誉輝氏“暴かれたスネの傷”

  5. 5

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  1. 6

    橋本環奈のパワハラ疑惑のこと? 嵐・二宮和也の正月番組のワンシーンが視聴者の間で物議

  2. 7

    橋本環奈《山本舞香と友達の意味がわかった》 大御所芸人に指摘されていたヤンキー的素地

  3. 8

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  4. 9

    夏菜の二の舞か?パワハラ疑惑&キス写真で橋本環奈に試練…“酒浸り”イメージもそっくり

  5. 10

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで