曲と声優を担当 ジブリ映画「紅の豚」で残した強烈な印象
加藤は「紅の豚」で歌われることについてこう解釈している。
<「もう50年も過ぎてしまったパリ・コミューン。でもその夢のように掲げられた自由の篝火が、その後の第1次世界大戦で打ちのめされたポルコたちの心に、今も一条の光になっている」。宮崎さんは、そういう風に説明してるわけじゃないけれど、歌っているジーナとして、そう感じている。>(自伝「運命の歌のジグソーパズル」から)
「紅の豚」で「さくらんぼの実る頃」はフランス語の原詞で歌われているが、映画公開に合わせてリリースされたCDには、フランス語版と加藤の訳した日本語版に加えて、映画のエンディングで流れた「時には昔の話を」も収録されている。
「時には昔の話を」は1987年に作られた加藤自身の作詞・作曲によるもの。若かった頃、つまりこの歌の作られた20年前、68年前後の学生運動の時代が「昔の話」として回想される。これが「紅の豚」の世界観、昔の思い出とともに生きている男女の物語と根底でマッチする。だからこそ宮崎はエンディングに採用したのだろうし、あるいはこの歌があったので加藤を声優として起用したのかもしれない。