樹木希林さんの一喝で変わった 女性誌の母子2ショット報道
名脇役女優として無類の存在感で演劇界を牽引してきた樹木希林さん(享年75)が亡くなって間もなく2週間。いまだにその足跡を称える声は後を絶たない。「誰もマネできない名演技」といわれる「女優の顔」と、数々の名言で知られる「人間・樹木さんの顔」が人々の心に強く残っている。
樹木さんは仕事とプライベートを分けず、全てをさらけ出してきた。主演クラスの女優は「私生活を隠すことによって神秘性を増す」のとは対照的だが、脇役としての心得だったのかもしれない。
家具や衣服など古いものを愛用する「倹約家」としても知られていたが、仕事も事務所に所属せず、マネジャーもなし。自分で全てを処理してきた。必然的に取材も自分で対応。別居中の内田裕也(78)が女性問題などを起こすたびにメディアは樹木さん宅を訪ねた。直接関係ないとはいえ、「何か話をしてくれる」というメディアの期待に応えてくれる人だった。1階にあるリビングルームはいつの間にか即席会見場。雄弁に語る言葉は聞き入るほど説得力があり、「いい話だった」とメディアの間でも勉強になっていた。それは法事の際、僧侶が話す「説法」にも似ていた。実際、樹木さんは宗教家としての顔も持っていた。〈誰かに頼むと、その人の人生に責任を持てないから〉など数々の名言は僧侶の説法にも似ている。晩年の自らの死生観もしかり。