秋川雅史「千の風になって」昼下がりの百貨店のご婦人狙い
この曲は、作者不詳のアメリカの詩を、芥川賞作家でシンガー・ソングライターの新井満さんが訳詩・作曲し、2001年に発表したもの。そのカバーとなります。そこで、当時まだ電通の役員だった新井さんの元に、本人と事務所社長を連れて挨拶に行ったんです。
すると新井さんは曲を聴いて一言。「うん。いいね、これ。来年の紅白に出れるよ」――。実際にシングルカットしたのは翌年。まずはNHK「歌謡コンサート」のプロデューサーの耳に留まり、出演したら大反響。あれよあれよという間にブレークし、その年末の紅白歌合戦に見事出場を果たしました。
さすが芥川賞作家の目は確かですね。以降、200人もの歌手がこの曲をカバーしていますが、売り上げは秋川さんのバージョンが最高なはずです。
詩の印税も相当なものでしょうが、作者不詳なのでいまだに支払われておらず、いざ現れた時のために出版元がプールしていると聞いています。
本連載は今回で終わりです。ご愛読ありがとうございました。
(聞き手・いからしひろき)