ハッタリを凌駕した「矢沢永吉」の熱く挑戦的な人間性
歌いだしに独特な哀愁感を醸し出す、オーギュメントコードをよく使うのはなぜかと尋ねられた矢沢は、質問が終わるのが待ちきれないように「おっしゃる通り!」と遮って、冗舌に語る。
「入れなきゃダメ。アレンジやるとき、僕らが必ず話すのは『ちょっと、フックな何かが欲しい』。それが合言葉。キャッチーなものが一発欲しい」
リフについてや、キーボードを多用する理由など、本人も「話したことがない」という専門的な話をしていく矢沢は、とても新鮮。“感性の人”というイメージを大きく覆す。
サブスクなど音楽ビジネスを取り巻く環境の変化に話が及ぶと、「僕らアーティストからしたらよ、『ちょっと俺たちの稼ぎ場荒らすんじゃねぇよ』とか、そりゃありますよ。それ言ったところで止まりますか? でしょ? 世界的な流れなんですから」と、矢沢節を利かせながら続ける。
「だけど、メロディー、音楽とか、ライブパフォーマンスっていうのは、僕は不滅だと思うけどね。やり方とか表現の場所とか、見せるところとかいうのが多少変わるけれど、絶対永遠だと思いますよ。『指くわえて待ってねーぞ』ってとこで、頑張るしかないじゃない」