野球解説者・岩本勉さん 片岡篤史氏のワイン事件は語り草
北海道日本ハムファイターズで活躍した元投手で、「まいど!」の明るいキャラで引退後も人気の岩本勉さん(49)。現役時代のチームメートの酒席での話や失敗談は数多い。自粛中は部屋で飲みながら、いつか店で披露するためギターと歌の練習中?
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「お酒を飲むのは二十歳からにしよう」というこだわりを持っていたので、初めて飲んだのは二十歳です。先輩の柴田保光さんと自主トレを行っていた時に、柴田さんからお酒の飲み方を教わりました。乾杯してから飲み始めるとか、「酒の席で人脈が広がっていくんだよ」ということまで。最初ビールを飲んだらすごく苦くて、ブランデーの水割りだったら飲めたことを覚えてますねぇ。
飲み始めの頃は「なんでわざわざお酒を飲みに行かなきゃいけないんだ?」と思っていたし、「じゃ一杯飲みに行こうか」というフレーズに違和感があったけど、飲む回数が増すたび、「人とお酒を飲み、同じつまみをつつきながら話をするのは楽しいな」と、酒と酒付き合いのよさを理解していきました。23歳では気づくと自分から「じゃ一杯飲みに行こうか!」と誘うようになって(笑い)。
その年は同学年の関根裕之選手、井出竜也選手が入団してきました。高卒の僕は5年目だから2人が僕を先輩として気を使って接してくれたんですよ。でも、一緒にゴルフして、帰りに酒に誘って、それぞれ違う道を歩んできた僕のプロの4年間と、2人の大学、社会人での4年間を話しながら飲んでいるうちに打ち解けましたよ。飲みながら仲が深まるのはとても楽しい時間。2人とは深酒も経験しましたしね。
僕は体格なりの酒の強さがありました。父親が弱かったから「自分も弱いかな」と勝手に考えてたら、結構イケる口で。酔っぱらうと記憶が断片的ですけど、一緒に飲んだ人に確認した結果、酒癖は悪くないらしい(笑い)。
昔は、最初から最後まで“ビールの人”だったんですよ。でも、年齢とともに焼酎好きになって、焼酎だけを水割りで飲むなら750ミリリットル入り1本飲めましたね。
焼酎の水割りは翌日に残りにくいといわれますから、野球選手は好きですよ。僕は食事とお酒を一緒にたしなむので、シーズン中は先発の前日も飲んでました。我慢するとストレスになるんです。
納会のリポーター役は引退後ひちょりが引き継いだ
よく飲みに連れてってくれたのは先輩の金石昭人さん。お酒を教えていただいたし、たくさん飲まれる方です。それと片岡篤史さん、今ジャパンのコーチの建山義紀さん、ひちょりこと森本稀哲。みんな明るくて楽しいお酒ですよ。
片岡さんは翌日に試合がないと、ワインを飲まれることが多かった。あるバーでみんなでワインを飲んでいた夜、片岡さんは酔ってくるとワインの知識をしゃべり始めて。
グラスを回しながら「こうやって酸素に触れさせながら飲むんやどー!」と言うんですけど、いざ飲もうとしたらグラスが空っぽで「俺のワイン、入ってないやないかー!」と騒ぐ。片岡さんが周りを見るとワインがこぼれてびしゃびしゃになってるんですよ。酔っぱらってグラス回しすぎ! 片岡さんの手の甲や服の袖に赤ワインがびっしょりかかってたのを今でも覚えてます。僕らの間では語り草。
僕も明るい酒ですよ。ある日、飲み会が深夜になり、トイレに行ったら途中でサインペンを見つけたので、トイレでまぶたに目を描いたんです。志村けんさんみたいに。席に戻って目を閉じて「俺はまったく眠たくないよ」と言いながらカラオケ歌ってました。「見えてるの?」とか突っ込まれたりして。そういう突発的なギャグばかりやってたなぁ。
選手会の納会では、最初から最後までマイクを握っていたこともありました。フロア専用マイクがあって、宴会場のステージとみんなが座ってる平場とをつなぐリポーターみたいな役を買って出て、「放送席! 今こちらには一杯ググッと飲みたい人がいます!」とか実況してました。僕が引退した後も日ハムの納会の実況役は引き継がれて伝統になってるそうです。僕の後はひちょりがやったと言ってたかな。
■吉本新喜劇の録画を見ながらもっぱら芋焼酎
最近は部屋で、毎週録画している吉本新喜劇を見ながら飲んでます。ビールに始まり、焼酎はもっぱら芋焼酎。好きなのは霧島ですね。酔っぱらうとアコースティックギターを弾いて秦基博さんの「Girl」「鱗」「ひまわりの約束」とか歌います。指でアルペジオを爪弾いて、一人でアーティスト気分になって。徳永英明さんの曲を弾くこともありますよ。
コロナが終息したら、生バンドの店に行って自分の腕を披露する計画があるんです(笑い)。以前、生バンドの店でギターを弾きながら歌おうとしたら、酔っぱらってて弾けずに失敗しちゃった。悔しかったから、酔っぱらっても弾けるように、今部屋で飲みながら練習してます。
(聞き手=松野大介)
▽いわもと・つとむ 1971年5月、大阪府出身。89年のドラフトで日本ハムに入団。引退後の06年から野球解説者として活動。ユーチューブ「岩本勉チャンネル」配信中。