NHK「ひきこもり先生」に反響続々…不登校児への「来なくていい」と「逃げてもいい」の大きな違い
その中で、唯一生徒と真っ当に心を通わせることができているのが陽平だ。陽平は一度も「君の気持ちがわかるよ」という言葉を使わない。そんな手っ取り早い言葉を使うことなく、丁寧に一人一人の心に寄り添う言葉を使っていく。
ある生徒には「自分は娘を捨てたから、娘の好きなおにぎりの具を知らないけど、君はお父さんの好きなおにぎりの具を知っているんだね。すごいね」と素直に伝え、目の前で死にそうになっている生徒には同じ熱量で泣き「生きよう」と何度も伝えた。
ただありのまま、何の打算も計算もなく、すごいと思ったことを“すごい”と言える陽平。それが出来るのは彼が生徒たちと同じひきこもりだったからではなく、そんな繊細で優しい陽平だから、ひきこもらなくてはならなくなってしまったのだろう。
久々に学校に来ることができた生徒が陽平を“ヤキトリ”と呼び、他の教師に「大人で先生なんだからヘラヘラ笑わないでください」と言われても、陽平は奈々が学校に来たことが嬉しいとヘラヘラ笑う。
■共感するだけでいい