進撃の巨人がコロナ禍に完結した意味 絶望を100%描き切る
11年7カ月にわたって連載が続いてきた「進撃の巨人」が、6月9日発売の第34巻をもって完結した。作者・諫山創(いさやま・はじめ)氏の出身地である大分県日田市では、巨人をかたどった空容器回収ボックスが日田駅前に設置されるなど、盛り上がりを見せている。
筆者自身も、連載当初から「進撃の巨人」の世界観にのめり込んだ一人である。
■誰もが死に得る世界観
塀の中で暮らす主人公たち。突如襲ってくる、謎多き存在である"巨人"。残酷に死んでいく人間たち。何もかもが謎で、だからこそ恐ろしく、そして面白かった。
進撃の巨人によって人生に影響を受けた人も少なくない。
「物語において、主人公級の人物は、まず死にません。死なせられません。しかし、『進撃の巨人』では、主人公のエレンをはじめ、ミカサやアルミン、そして同期の104期生を含めた誰しもが死と等距離にあります。登場人物たちがここまで死にゆく漫画は、もしかしたら『進撃の巨人』が最初で最後なのではないかと思うほど。明日死ぬかもしれない。それはまさに、現実の生そのものです。だからこそ、生きることが生々しく、より迫力を伴って響いてくる。残酷であるがゆえに先のまったく読めない世界は、早く濃霧が晴れてほしいと願う我々読者をして怒涛にページをめくらせ、果ては知人に『進撃の巨人』を推奨せしめるのだと思います」(35歳・イラスト制作会社男性)