「イジメ自慢」小山田圭吾の急転辞任に菅官邸“介入” 五輪開幕直前スキャンダルに場当たり対応
これで引責辞任は何人目か――。次から次へとスキャンダルが噴出する異常事態だ。開幕目前の東京五輪を巡って、新たな問題が発生。開会式の作曲を担当する小山田圭吾氏が、「障害者イジメ」を自慢げに語っていたことが発覚し、大炎上。辞任を求める声が続出し、結局、小山田氏は辞任に追い込まれた。
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小山田氏が1990年代に雑誌で語った内容は、障害者に「排泄物を食べさせる」「自慰行為を強要する」といったあまりにもヒドいもの。
〈許してはいけない〉〈悪質極まりない〉――。ツイッターではこんな声が続出した。〈東京オリパラ開閉会式制作メンバーから小山田圭吾氏の除外を求めます〉と題するネット署名も立ち上がり、19日午後9時時点で3万筆を超えた。海外メディアも批判していた。
結果的に小山田氏に引導を渡したのは、加藤官房長官だった。19日午前の会見で「イジメや虐待はあってはならない行為」と批判し「大会組織委員会が適切に対応してほしい」と、組織委に迫っていた。組織委は昼時点では小山田氏留任の意向を表明していたが、さすがにこれ以上世論を敵に回せなかった。
菅官邸も「また支持率が下がる」と、大慌てだったという。
■菅首相は激怒
「官僚タイプの加藤長官が『イジメはあってはならない』などと勝手に踏み込んだ発言をするとは考えづらい。首相とすり合わせた上での発言でしょう。菅政権はただでさえ五輪の対応を巡って批判を浴びている。障害者をいじめていたという今回のスキャンダルは、ダメージが大きすぎる。菅首相は『辞めさせろ!』と激怒したといいます。作曲担当は小山田氏以外にも複数、参加していますから『1人くらい切っても問題ないはず』という判断もあったようです」(官邸事情通)
慌てて動いた官邸
要するに、支持率急落で窮地の菅官邸がリスクヘッジに動いたというわけだ。しかし、コロナ対策同様、こちらも後手後手だった。小山田氏のイジメ自慢問題は、小山田氏が作曲担当と発表された14日からネットで問題視する声が噴出。大手紙も先週末に報じた。なのに、官邸は問題にせず、海外メディアが報じた後、慌てて動いている。
「小山田氏に問題があるのは、調べればすぐに分かったはず。既に演出チームを巡っては、女性タレントの渡辺直美氏への侮辱的演出のアイデアが問題視され、トップが辞任している。直接的な人選は組織委ですが、政府も『この顔ぶれで大丈夫か』とチェックするのが普通でしょう。ロクに“身体検査”せずに選んだのか、それとも『昔の話だからこれくらい大丈夫』と判断したのか、いずれにせよ認識が甘すぎます」(大会関係者)
組織委の森前会長が女性蔑視発言をした時も、政府が動いたのは、海外メディアの追及が激しくなった後だった。炎上してから対処するとは、いかにも場当たり的だ。
「多様性」や「調和」「共生社会」を掲げる五輪憲章を菅官邸や組織委が理解しているとは思えない。