尾崎豊は4月で没後30年 「色あせない魅力」の源泉とライブアルバムの聴きどころ

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■石川啄木に通じる感性

「CBSソニーのプロデューサーだった須藤晃氏は尾崎に1冊のノートを渡し、『何でもいいから、今胸の内にあるものを書いてごらん』と言ったそうです。すると、普通ならば見過ごしたり、そういうものだと思っているような物事を真剣に考えるような散文を書いてきた。尾崎は石川啄木が好きだったそうで、須藤氏は夭折した歌人の感性と相通じるものを感じたそうです」

 やがて散文詩のようだった言葉が作詞となり、ギターをかき鳴らして歌い、曲になる。

「ファーストアルバムの『十七歳の地図』は中上健次が寄る辺のない若者の鬱屈を描いた『十九歳の地図』へのオマージュ。須藤氏がどこか通じるところを感じて提案すると、尾崎も気に入ってタイトルにしたそうです」

 このタイトルをもとに尾崎がイメージを膨らませた楽曲「十七歳の地図」の歌詞を見て、思わず須藤氏は息をのんだという。

「歩道橋の上で振り返ると、焼けつくような夕日があり、心の地図の上で起こる全ての出来事を照らすんだというサビ。昇る朝日ではなく、沈む夕日に着目し、そこに躍動する生命を感じるとは、なんて凄い才能なんだと驚きを語っていました」

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