錦鯉が改めて振り返る「M-1グランプリ」優勝の瞬間! 涙を見て涙が引っ込んだ
2020年末の「M-1グランプリ」(ABCテレビ・テレビ朝日系)では初の決勝進出で4位になり、昨年末、見事に最年長王者となった漫才コンビ、錦鯉。おじさん芸人のトップランナーとして大活躍中の2人に聞く優勝の「瞬間」と現在。スキンヘッドでM-1最高齢(50)優勝の長谷川雅紀さんは1年前に日刊ゲンダイインタビューで宣言した通り8本の歯を治療中、ツッコミで相方をコントロールする司令塔の渡辺隆さんは漫才の面白さを広めていきたい!
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長谷川(写真左) 1年2カ月前に初めて決勝に残ってからお笑いの仕事だけで生活できて、アルバイトを辞められたのがよかったです。昨年末も決勝に出られた時は前年よりうれしかったですね。というのも、忙しさとコロナ禍でライブが少なくてお客さんの前でネタができなくて不安でしたから。
■ナイツに漫才協会に入れてもらった
渡辺(同右) 新ネタをまったく作っていなかったですから。でも、去年は漫才協会に入れてもらえたんです。一昨年の暮れに初めて決勝に出た後、昨年の年明けにナイツさんのラジオに出た時に「漫才協会に入れてください」と番組中に発言したんですよ。舞台数が増えるのはいいことかなと思ったので。入れてもらえた去年、漫才協会の寄席に月に1回出られていたのが「M-1」にも大きかった。
長谷川 「M-1」本番は1年前より緊張しなかったけど、1本目のネタの手応えは正直わからなくて、決勝の決勝の3組に入ったのはものすごくうれしかったです。
渡辺 「ここまできたら王者を取るしかない」と思いました。
長谷川 2本目の猿のネタは目いっぱいいきました!
渡辺 やっていてすごく楽しいネタでしたよ。
長谷川 優勝の瞬間を録画で見直すと隆は審査員の上の投票パネルが「錦鯉」「錦鯉」「錦鯉」……と1つずつめくれるたびにリアクションをとってるんですよ。でも、僕は微動だにせず固まってる。
渡辺 雅紀さんは優勝発表のシステムを理解してないのかと思いました。または「錦鯉」が読めなかったのかと。僕は7つのうち4枚が「錦鯉」になった瞬間に優勝とわかりました。
■涙があふれちゃいました(長谷川)、僕は涙が引っ込みました(渡辺)
長谷川 僕は放心状態でした。隆がやったこともないハグを僕にしてきて、耳元で「ありがとう!」と言ってきたものだから、感情がおかしくなり、涙があふれちゃいましたね。苦楽をともにした涙です。
渡辺 雅紀さんが思った以上に泣き出して。お祭りの発電機くらいにガタガタ震え出した姿を見た瞬間、僕は引いちゃって、涙が引っ込みました。本当は泣きたかったんですけど。
今何をやっているのかわからない毎日
長谷川 優勝後は生放送のハシゴで家に帰る時間がないほど忙しくて、1週間過ぎた頃に「3日しかたってない感じだなあ」と言ったら、隆も「俺もそうなんだよ」と。一日の区切りがわからなくなっていました。夜中の3時からホテルで2時間寝て朝の5時にロビー集合とか。楽屋に布団が敷かれてあって1時間寝るとか。
渡辺 テレビ局の配慮で布団が用意されてることがあるんですが、なかなか寝つけない。今何をやっているのかわからない毎日です。
長谷川 今はタクシーに乗っても気づかれたり、新幹線で「写真撮ってください」と言われたりして「もう知られてるんだ、道端で鼻くそはほじれないんだ」と実感してます。
渡辺 僕は一人で街を歩いていて、いまだに声をかけられたことが一回もないんですけど(笑い)。
長谷川 昔からテレビで見ている芸能人の方に局でお会いすると、僕らは知られていて、家に帰っても興奮して寝られないんですよ。すぐ起きて仕事なのに寝られなくて(笑い)。
■50歳のM-1王者として末永く頑張りたい
渡辺 うれしかったのは周りの芸人が優勝を喜んでくれたこと。ハリウッドザコシショウさんはじめ事務所の芸人も、ライブで一緒だった芸人も自分のことのようにすごく喜んでくれて。今後の目標はテレビで活躍したいと思っています。それと漫才で世に出られたわけだし、漫才協会にも入りましたから、漫才の普及に関われたらなと思ってます。「漫才は面白いものだ」と伝えていきたい。
長谷川 僕は歯を完全に入れること。1年前にゲンダイさんに「抜けてる8本の歯を入れたい」と言いました。今、治療中なのですが、本数が多いもんで、あと数カ月はかかると。それとこの1年間で10キロ太ったので今年は10キロ痩せる! それから10年ぶりに身体測定したら身長が1.2センチ縮んでいたから背を元に伸ばす。そしてこの世界で末永く仕事していきたいです。50歳のM-1王者として頑張りたい。
(聞き手=松野大介)
▽はせがわ・まさのり 1971年、北海道出身/わたなべ・たかし 1978年、東京都出身。
2012年に漫才コンビ「錦鯉」結成。21年に「M-1グランプリ」優勝。著書「くすぶり中年の逆襲」(新潮社)、初単独ライブDVD「こんにちわ」(コンテンツリーグ)発売中。