<167>真砂田辺市長は野崎幸助さんの土地購入に関する質問をはぐらかした
■イベント会場で直撃
このような市の対応を見ていれば、真砂市長に取材のアポイントを取ろうとしても断られる恐れがあった。「ご用件は?」と聞かれて「ドン・ファンの土地の件で」と答えれば、相手に警戒心を与えることにもなる。隠蔽や言い訳を考える時間を与えることは避けなければならない。そこで私は、田辺市内の公園で開かれるイベントに公務で出席する真砂市長を直撃することにした。市民がコスモスを植えるというイベントである。
私は会場に入る市長に名刺を差し出した。
「オーシティの駐車場にあった野崎幸助さんの土地を2016年に田辺市は購入しましたか?」
市長は私の顔と名刺を交互に見ながら困ったような表情を浮かべた。
「私のことは知っていますよね?」
市長は軽くうなずいたが、声は出さなかった。面識はなかったが、市長がドン・ファンや知人から私の情報を得ていたのは知っていたし、ドン・ファンの死の3カ月ほど後に中辺路の市長宅に訪ねたこともある。彼は中辺路町の議員から町長となり、田辺市との合併後に市長となった。