<173>チクリ主の要望で早貴被告の「ドバイ移住計画」を「フライデー」に掲載した
公衆電話のチクリ主からの電話はその後かかってこなかったが、私は彼の要望をかなえるために動くことにした。
「どこの誰なのかは分かりませんが私に情報が入ってきました」
私は「フライデー」の編集長に電話のやりとりを詳細に説明していったが、具体的な内容に編集長も驚いた様子だった。
チクリ主の要望は早貴被告がドバイへ逃亡することを記事にして欲しいというもので、記事が出たら次の情報を与えるというものだ。ネタ元の身元が分からないと記事にするのは難しいが、私は信憑性があると思っていた。早貴被告が旧姓に戻したことや、新しく開催されたアプリコの株主総会についても情報を知っているのだから、いい加減なチクリ屋ではないことは確かであるが、その意図を測りかねていた。
「申し訳ありませんが、ここはネタ元の言うようにやらせてもらえませんか? その後の展開に期待したいと思います」
私の願いを編集長は認めてくれた。年末進行のためにページ数は限られていたが、1ページ分を与えてもらった。