広瀬アリス「恋マジ」vs上野樹里「じぞ恋」の軍配は? 令和の恋愛ドラマは“多種多様”がカギ
ミステリー、グルメ、サスペンスなど多種多様な春ドラマが放送されているが、恋愛モノの2本については評価が分かれ始めている。「恋なんて、本気でやってどうするの?」(恋マジ=フジテレビ系)と、「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(じぞ恋=TBS系)である。
恋マジの主演は広瀬アリス(27)。さらに前期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の“稔さん”役で老若男女、幅広い世代に認知され大人気となったSixTONESの松村北斗(26)が相手役としてキャスティングされている。
「脚本は『ラストフレンズ』や『大奥』など多くのヒットを飛ばしてきた浅野妙子さん。フジテレビとの相性もいい。ですから、恋マジには期待していたのですが……残念ながら多様性を大事にする今の時代に合っていない気がするんです。〈高齢処女〉という言葉を面白おかしく使うあたりに、“キラキラの恋愛をして当たり前”的な押しつけが見え隠れするような気がして」と話すのは、ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏だ。
恋マジは、〈恋なんて人生のムダ!〉と宣言する恋愛経験ゼロのヒロイン純(広瀬)が、〈来る者拒まず〉の危険な男・柊磨(松村)と“本気の恋”に挑む物語。純の女友達を、飯豊まりえ(24)と西野七瀬(27)が演じている。3人はたびたび集合して女子会を開き、そこで性体験を含む恋愛話を赤裸々に繰り返すという設定だ。
「ヒロインと2人の女友達、という設定は恋愛ドラマの王道。吉高由里子さん主演の『東京タラレバ娘』もそうですが、タラレバの3人は互いを思いやるからこそ辛口な意見も言い合い、そこが視聴者に支持された。でも恋マジの3人は、〈互いにホントに友達と思ってるのかな〉〈陥れようとしてない?〉と深読みしてしまうようなセリフが多く、どこか薄い友情のように思えてしまうんです」(山下真夏氏)
ネット上でも〈この子たち、友達というよりフレネミーじゃ?〉なんて意見も。「フレネミー」とはフレンド(友達)とエナミー(敵)と組み合わせた造語で、〈友達のフリをした敵〉という意味で使われる。
じぞ恋が高評価なワケ
一方、じぞ恋は同じ恋愛モノでも〈面白い〉〈継続視聴決定!〉という好意的な声が多い。同時に婚活を始めた父と娘の物語で、主演は上野樹里(35)、父親役を松重豊(59)が演じている。
「じぞ恋は、ヒロイン杏花の心境を丁寧に描いていると思います。それもセリフだけではなく、揺れ動く心を仕草や表情で表現した瞬間を、カメラも実に上手にとらえている。第2話で晴太(田中圭)を偶然見つけた杏花が駆け寄ろうとした瞬間の上野さんの表情が、ハッとするぐらい奇麗だった。背景を含め、映像としても美しく印象に残りましたね」(テレビ誌ライター)
かつて連ドラの王道だったはずの恋愛モノ。だが、時代が変わり、恋愛についての考え方も多種多様になったいま、これまでと同じように〈恋愛って楽しいでしょ〉〈恋愛してこそ一人前〉なんて紋切り型、画一的な描き方では、苦戦を強いられることになるのかもしれない。