2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(上)始まりは2015年6月8日のラブコール
■「皆さん、僕と誰の試合が見たいですか!」
物語を始めるには、時計の針を2015年6月8日まで戻さねばならない。新生K-1のエースとして脚光を集めていた武尊に、デビュー2年目で、当時16歳の那須川天心が「K-1チャンピオンの武尊選手と戦いたい」と対戦表明したことに端を発する。それに対し、武尊の反応はつれないものだった。
「世界中から対戦表明が来ているので、その中の一人としか見ていない。K-1で試合が組まれるならいつでもやる」
それでも天心は「武尊選手と戦えるなら僕はどこでも上がります」と一途にラブコールを送り、天心の所属するRISEの伊藤隆代表も「実現するならK-1でも問題ない」とバックアップ。しかし、進展することはなく、それどころか「対戦に言及するのはタブー」という空気が醸成される。意外にもそれは、RIZIN統括本部長の高田延彦が投稿したTwitterがきっかけだった。
「キック界の二人のスーパースター武尊対那須川天心は今しかない! 格闘技に携わる人間としてこんなスーパーファイトをイタズラに時間を費やし鮮度を劣化し、戦う側のキモチを壊し、大人の事情で見る側に絶望感を抱かせる大罪があってはならぬと思う、何のためにこの仕事をしてるのか原点に帰りましょう!奇跡」(2017年8月29日11時47分投稿)